【事例解説-4】三重県I市|系統用蓄電池を目的とした農地転用を行政書士が解説!


このコラムでは、実際、過去にご依頼頂いた案件を基に、農地転用の申請を解説させて頂いております。
同様の転用目的の事業者様などは参考になる部分があるかと存じますので、是非参考になさって下さい。
※特定を避けるため一部情報を伏せている部分がございます。予めご了承ください。
このコラムで分かること
- 農地転用の基本知識
- 蓄電池を目的とした農地転用の流れ
- 農地転用以外に問題となる関係書法令
こんなご相談も可能です!

当事務所はEPC事業者と連携して、事業者様の蓄電池導入をサポートしております!
EPC事業者は、全国に拠点を有しているため
日本全国どこでも導入をサポートすることができます。
「蓄電池は最近よく耳にするけれど、良く分からない」
「収益のシュミレーションが知りたい」
「どうすれば蓄電池で収益が上がるのか」
など、蓄電池に関する疑問にお答えすることができます!
是非お気軽にご相談下さい!
農地転用とは?5条申請の基礎知識を分かりやすく解説!

お馴染みの農地転用の基礎知識を確認しておきます。
農地転用を行う前に知っておきたい基礎知識や、農地転用が必要となる具体的なケースをご紹介します。
農地転用についてあまりよく知らないという方は、是非ご覧ください。
※農地転用について既に知っているという方は、このセクションを読み飛ばして頂いても問題ございません。
農地転用とは?
農地転用は、農用地(登記簿謄本の地目が「田」や「畑」)を農業以外の目的(住宅地や商業地、工場用地など)で利用する場合に必要となります。
※農地を農地以外の用途で利用することを「転用」といいます。
日本では、農地法という法律によって農地の保護が重視されており、無計画な開発による食料生産基盤の崩壊を防ぐため、農地を農地以外として使用することに関して規制があります。
そのため、農地を他の用途で利用するには、農地法に基づいた申請や届出が必要となります。
農地転用手続きは、特に都市部やその周辺で土地の有効活用を考える際に必要になることが多く、住宅、商業施設の建設や太陽光発電設備の設置を目的とした転用のほか、公共事業や社会資本整備に伴う転用も行われる場合もあります。
申請・届出の根拠法令は、農地法第3条、第4条、第5条があります。
| 根拠法令 | 解 説 | 具 体 例 |
| 農地法第3条に基づく届出or申請 | 農地を「農地」として他人に売却、貸し出す場合の手続き | 所有している農地を農地として貸し出すとき、など |
| 農地法第4条に基づく届出or申請 | 農地を「農地以外の目的」で所有者が使用する | 所有している農地を自分が利用する駐車場に転用するとき、など |
| 農地法第5条に基づく届出or申請 | 農地を「農地以外の目的」で他人に売却、貸し出す場合の手続き | 所有している農地を事業者に売却し事業地にするとき、など |
※届出か申請かは、農地が属する都市計画区分により決まります。
一般的に、農地が市街化区域に属するのであれば「届出」、農地が市街化調整区域等に属するのであれば「申請」を行う必要があります。
農地転用が必要になる具体的なケース

農地転用が必要になる具体的な状況には、次のようなものがあります。
- 住宅や建物の建設
農地を住宅地に変更する場合、農地転用が必須です。
たとえば、農地に新しく家を建てたいと考えている場合、その土地が農地であれば転用の手続きが必要になります。 - 商業施設や工場の建設
商業用の店舗や工場を建設するために農地を利用したい場合も、農地転用を申請する必要があります。
特に都市の拡大に伴って、農地の商業地転用がよく見られます。 - 公共インフラの整備
道路や鉄道、学校、病院などの公共施設を建設するために、農地を転用することがあります。こうした転用は、地域住民の生活基盤を整えるために行われることが多く、場合によっては早急な対応が求められます。 - 農業の廃業や跡地の活用
高齢化や後継者不足により、農業を続けられなくなった場合、農地を転用して活用するケースもあります。
農業を辞めることを前提に、その土地を転用して住宅や施設に活用するのは一つの選択肢です。 - 農地を事業用の土地として利用する
農地を事業者に売却(貸し出)して、事業地(資材置き場・駐車場・太陽光発電設備の設置など)として活用する場合にも、農地転用が必要です。
また事業用地として活用する場合、農地法以外の規制を受ける場合があるので注意が必要です。
転用事例紹介:三重県I市で系統用蓄電池の設置を目的とした転用事例

依頼概要
系統用蓄電池のEPC事業者様より、HP経由でお問合せ頂きました。
転用目的をお尋ねすると、「系統用蓄電池設備」とのことでした。
「系統用蓄電池設備」はここ最近でお問合せの件数が増加しています。
本転用において必要となった手続きは、以下の通りです。
・農地転用(5条)申請
・道路法に基づく道路占用許可申請
・消防法(条例)に基づく届出
このうち、当事務所に依頼があったのは農地転用のみで、その他の申請は全て事業者様の方でご対応されるとのことでした。
農地転用以外に問題となる主な関係書法令
蓄電池を農用地(登記簿の地目欄が「田」または「畑」)に設置する場合、農地法に基づく届出・申請が必要になるのは当然ですが、農地法の手続き以外も必要になる場合があります。
実際にどのような手続きが必要になるかは設置予定地の事情や、設置工事の施工内容で決まります。
ここでは蓄電池を転用目的とするご依頼があったときに、必要となることが多い手続きをご紹介いたします。
※あくまで本件において必要になった手続きをご紹介するだけなので、他の案件でも同じわけではありません。
消防法(条例)に基づく届出
蓄電池は危険物であるリチウム化合物(例:六フッ化酸リチウムなど)を電解液に含んでいるため、消防法に基づく許可申請または届出が必要となります。
許可申請か届出かは、蓄電池に内蔵されている危険物の含有量によります。
大規模な系統用蓄電池であれば、危険物の含有量も多くなりますので許可申請が必要となりますが、1000㎡以下の土地に設置する計画で用いる系統用蓄電池の場合、危険物の含有量が比較的少なく届出で済む場合が多いです。
本件も危険物の含有量が規定量以下だったので、「少量危険物・蓄電池設備の設置届」で済みました。
消防法(条例)に関する照会は、基本的に消防本部に行うことになるかと思います。
照会を行う場合、少なくとも以下の事項が分かる資料を準備して照会を行うと良いでしょう。
- 危険物の具体的な内容(電解液に含まれる化合物)が分かる資料
- 上記危険物の含有量が分かる資料
- 蓄電池を収納箱に収納する場合は、収納箱の材質等が分かる資料
届出の際は、安全データシート(SDS:Safety Data Sheet)や収納箱要件の適合が分かる資料の提出を求められることがあります。
また、標識や掲示板、消化器の設置位置の計画を事前に決めておくと、手続きがスムーズに進みます。

市町ごとに「消防条例」が存在するはずです。
そして、蓄電池の設置にあたっては、この市町ごとの消防条例にも留意しつつ手続きを進めていく必要があります。
また、許可申請か届出かは蓄電池の収納する箱もポイントになることがあります。
本件では、消防危第200号が通知する耐火性収納箱に該当するとのことで、届出で済みました。
道路法に基づく使用・占用許可申請
先に見た通り、系統用蓄電池の設置にはほぼ間違いなく消防法(条例)に基づく申請または届出が必要になります。
一方で、これから解説する道路法に基づく許可申請は、場合によっては必要になる点に注意が必要です。
必要か否かは工事の施工内容(主に進入路という点)で決まります。
例えば、以下のような土地に蓄電池を設置する計画を立てたとします。

基本的に「田」の場合、土地の周囲に水路があるのが一般的なので、水路を跨いで土地へ侵入することが多いかと思います。
この際、通常、水路を跨ぐために敷き鉄板などを敷いて侵入するかと思いますが、水路の上に何かを置く場合、占用許可を取得する必要があります。
道路占用許可は、占用する期間と占用面積に応じて「占用料」を支払う必要があります。
申請時に「どのようなもので、何㎡占有するか」記載する必要がありますので、きちんと計画を立ててから手続きを進めるべきです。
また、注意が必要なのは、水路の扱いです。
水路は「道路の一部」として道路扱いされる場合と、「法定外公共物」として道路扱いされない場合があります。
正直なところ、この点に関しては、一目見ただけでは絶対に分かりません。市に問い合わせて確認する他ありません。
道路扱いされるか否かで申請する根拠法令が異なる場合があるため、しっかり確認しておく必要があります。
他にも、資材を下ろすために作業車両を長時間道路に駐車する場合は、道路使用許可が必要になります。
さらに、蓄電池は大きく重いので、トレーラー等で運ぶことがあるかと存じます。トレーラーが規格以上の寸法の場合は、特殊車両通行許可申請が必要になります。
系統用蓄電池を目的とした農地転用の必要書類
続いて、「系統用蓄電池」を目的とした農地転用の必要書類を確認しておきたいと思います。
転用目的が「太陽光発電設備」の場合の必要書類は、各市町の農業委員会が別途まとめてくれていることが多いのですが、「系統用蓄電池」の場合は別途まとめてくれていることがまずないです。
系統用蓄電池の設置がここ最近になって増え出したため、役所側の対応が間に合っていないのだと思われます。
現に、農業委員会と事前協議を行なっても、「うちのところでは(蓄電池の設置は)初めてですね」と言われることが多いです。
電力関係の書類などは「太陽光発電設備」の場合を応用させれば問題ないことが多いですが、いつにも増して農業委員会との事前協議が重要になります。
本案件における必要書類は以下の通りでした。
| 書類名① | 書類名② |
|---|---|
| 許可申請書(5条) | 土地改良区協議書(意見書) |
| 土地登記事項証明書 | 建物図面(平面図、立面図) |
| 位置図 | 土地の使用権を証する書面(賃貸の場合など) |
| 付近状況図 | 植林計画書(山林に転用する場合) |
| 公図(字限図) | 電力関係の書類 |
| 土地利用計画図(配置図) | 定款、法人登記事項証明書 |
| 資金証明書 | 同意書(土地の使用権原の障害となる権利が存在するとき) |
| 委任状(代理申請の場合) | 住民票または戸籍の附票 |
もちろん、上記の書類全てが必要なわけではありません。
申請内容に応じて不要なものがあります。
申請にあたって作成に注意が必要な書類があります。
土地利用計画図(配置図)
土地利用計画図は、事業の計画を目で見てわかる形に落とし込んだものであり、農地転用の申請において非常に重要な図面です。
他の転用目的とは違い、転用目的が蓄電池設備の場合、細かく図面を作成する必要があります。
具体的には以下のような点に注意して図面を作成します。
- 設備とフェンスまでの距離、設備間の距離を図面上に明示した上で、離隔距離として問題ないか
- 事業区域内(フェンス内部)以外の空きスペースの活用方法を明示しているか

土地利用計画図に関してはEPC事業者様がご準備してくださることがほとんどです。
転用目的が蓄電池設備の場合、農業委員に細かく確認されるため、計画をすべて図面に落とし込んでおく必要があります。
特に、空きスペースに関しては使用用途を決めて図面上で示しておく必要があります。
農地法の基本的なスタンスは、「必要な分だけを転用してください」なので、空きスペースがあると、「その部分は転用の必要がないですよね」と言われてしまいます。
電力関係の書類
太陽光発電設備を転用目的とする場合と同様、系統用蓄電池の場合も「系統連系の接続に関する回答書」は必須となります。
「系統連系の接続に関する回答書」以外の電力関係の書類は、市町ごとに求められるものが異なるのが厄介です。
主に以下のものがあれば、おそらく大丈夫だろうと思われる書類を挙げておきたいと思います。
※あくまで参考程度とお考えください。
- 発電事業者であることを示す書類(資源エネルギー庁のHPの該当ページ)
- 売電先(小売電気事業者)との売電契約書
- 2の書類の代わりに、転用後必ず売電を行う旨の確約書
- 2の書類の代わりに、負担金契約書
大きく分類すると、「発電事業者関連の資料」と「小売電気事業者関連の資料」が必要ということになります。

電力関係の資料は市町ごとに異なるので、必ず申請先に確認した方が良いです。
これまでの申請経験上、小売電気事業者(売電先)が決まっていない状況での申請はなかなか厳しいです。
農地転用の要件の一つに、「転用計画の実現可能性」というものがあります。
売電先が決まっていないとなれば、転用計画がまだしっかり定まっていない、と判断されるのだと思います。
以前に売電先が決まっていない状態で、「小売電気事業者関連の資料」がないパターンで確約書を作成し、無理やり申請したことがあります。
この確約書で認めてくれる市町もあると思いますが、おそらく認めない市町の方が多いと思われるので、売電先はさっさと決めてしまうのが良いでしょう。
また、系統用蓄電池の農地転用のポイントとしては、以下の2点です。
- 申請者(譲受人・譲借人)は、「発電事業者」にして申請する
- 小売電気事業者は申請段階で決めておき、発電事業者及び小売電気事業者との間で売電契約書を締結しておく
蓄電池のビジネスモデルは結構複雑で、登場人物も多いのでややこしいです。
別の記事で詳細を説明したいと思いますが、蓄電池のビジネスモデルの全体像を画像(当事務所作成)で解説しています。
もしよろしければご覧ください。

まとめ
- 農地に系統用蓄電池を設置する場合、農地転用の手続きが必要です。
- 土地を事業者に売却・賃貸する場合は、農地法5条申請が基本です。
- 系統用蓄電池の農地転用は、近年相談が増えている分野です。
- 農地転用以外にも、消防法や道路法の手続きが必要になる場合があります。
- 蓄電池の危険物量によって、消防署への届出・許可の要否が変わります。
- 工事車両の進入方法によっては、道路占用許可などが必要です。
- 土地利用計画図では、設備配置や空きスペースの説明が重要です。
- 系統連系に関する回答書など、電力関係の書類も重要になります。
- 小売電気事業者や売電先が決まっているかも審査上のポイントです。
- 系統用蓄電池の農地転用は、早めの事前協議と専門的な確認が大切です。
系統用蓄電池を目的とした農地転用は、専門家へご相談ください
系統用蓄電池を目的とした農地転用は、通常の農地転用と比べて、確認すべき事項が多くなりやすい手続きです。
農地法上の許可申請だけでなく、消防法、道路法、電力関係書類、発電事業者・小売電気事業者との関係整理など、事前に確認しておくべきポイントが多岐にわたります。
滋賀県で系統用蓄電池の設置を目的とした農地転用をご検討中の方は、ぜひ当事務所にお任せください。
事前相談から農業委員会との協議、必要書類の整理、農地転用許可申請まで、実務に即してサポートいたします。
また、当事務所では、系統用蓄電池への投資をお考えの事業者様からのご相談にも対応しており、蓄電池のEPC事業者とも提携しています。
収益シミュレーションから設置、運用管理まで含めてご相談いただけますので、系統用蓄電池事業をご検討中の方はお気軽にお問い合わせください。
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