農地を宅地にするまでの流れ―農地転用から建築までの流れと注意点について解説!


西野
「実家の田んぼに家を建てたい」「相続した畑を駐車場にしたい」
そんなときに必要になるのが、農地転用という手続きです。
しかし、「農地を宅地に変える流れが分からない」「どんな許可が必要なのか」「どれくらい期間や費用がかかるのか」といった疑問を持つ方は少なくありません。
この記事では、農地から宅地になるまでのステップをやさしく解説します。
このコラムで分かること
- 農地転用の手続きの順序
- かかる費用の目安
- 農地転用をする際の注意点
- 農地転用をする際の失敗しないポイント
農地転用とは?宅地化の基本を理解する!

農地転用と宅地化の違い
まず最初に押さえておきたいのは、「農地転用」と「宅地化」は似ているようで、実は別の手続きだという点です。
農地転用とは、法律上「農地法」に基づき、農地を農地以外の用途に使うことを行政に許可・届出する行為です。
たとえば、「田んぼを住宅用の土地(宅地)にする」「畑を駐車場にする」など、用途が農業以外に変わる場合に必ず必要です。
一方で、宅地化とは、実際に家を建てられるように整地したり、地目を変更したり、建築確認を受けたりする一連の作業を指します。
つまり、農地転用は「法律上の許可」、宅地化は「物理的・実務的な整備」です。
転用できる土地・できない土地の違いは?
農地を宅地に変える際に、最も重要なのは「その土地がどの区域にあるか」です。
日本の土地は都市計画によって、次のように区分されています。
| 区分 | 概要 | 転用の難易度 |
|---|---|---|
| 市街化区域 | 家や道路を増やしてよい区域。 基本は届出のみでOK。 | ★☆☆(易しい) |
| 市街化調整区域 | なるべく建物を建てない区域。原則NG。 | ★★★(難しい) |
| 非線引き区域(都市計画区域外) | 市街地整備の対象外。自治体判断による。 | ★★☆(中程度) |
たとえば、所有している土地が「市街化区域」にあれば、転用手続きは比較的スムーズです。
一方、「市街化調整区域」にある場合は原則として家を建てることができず、「自己の居住用」「既存宅地」などの例外条件を満たすときだけ」許可されるケースがあります。
また、土地が「農業振興地域(農振地域)」(青地)に指定されている場合は、転用そのものが原則認められません。
この場合は「農用地区域除外申請」を行い、区域から外す必要があり、これだけで半年〜1年以上かかることもあります。
農地を宅地にするまでの流れ

「農地転用」は、農地を宅地へ変えるための手続きの一つに過ぎません。
実際に「住宅を建てる」までには、次のような6つのステップが必要です。
ステップ1:事前準備・土地の確認
①都市計画区域・地目・農地区分など農地の基本情報を確認
まずは自分の土地がどこにあるか、どんな種類の土地かを確認します。
登記簿謄本を法務局で取得すれば、地目(田・畑など)が分かります。
また、都市計画課で都市計画図を見せてもらえば、「市街化区域か調整区域か」も確認可能です。
更に、農地にはランクが存在し、これを「農地区分」と呼んでいます。
農地として優良であれば、当然ランクは高く、転用のハードルが上がることになります。
農地区分は市町農業委員会に照会すると教えてもらえます。
「第2種農地」または「第3種農地」と返答が返ってくることを祈りましょう。
他にも、役所の「農政課」または「農林課」に転用予定地が「青地か否」か、「地域計画の対象か否か」も確認しておきましょう。
②現地の状況をチェック
転用の手続きに入る前に、最低限以下の項目について確認しておくようにしましょう。
農業委員会に相談に行った際に、聞かれる可能性が高いので、説明できるようにしておくと良いです。
- 申請予定地の周囲に住宅や道路はあるか
- 申請予定地の周囲の水路、農道、用排水路の位置
- 申請予定地と隣地との境界杭の有無
これらは、後の造成工事や開発許可の要否などにも影響を与える事項ですので、早期に確認しておきたいです。
③農業委員会への事前相談
いきなり申請書を作成し、農地転用の申請を行っても許可が下りないことがほとんどです。
まずは、農業委員会の窓口で「転用ができそうか否か」を相談するようにしましょう。
農業委員会へ相談に行く際には、最低限以下の書類を持参するようにしましょう。
- 土地登記簿
- 公図
- 農地の現況写真
- 位置図
資料がなければ、農業委員会の担当者も困ってしまいます。
スッテプ2:農地転用手続きの準備、届出・申請
"転用見込みあり"と判断されたなら、いよいよ転用の手続きを進めていきます。
"農地を宅地"に変更する場合、農地法第4条または第5条に基づき、届出・申請を行うことになります。
| 条文 | 対象 | 申請者 |
|---|---|---|
| 第4条 | 自分が所有する農地を自分で転用 | 所有者本人 |
| 第5条 | 売買や贈与で、他人が転用目的で取得 | 売主・買主両者 |
必要書類の例
- 農地転用申請書(農業委員会様式)
- 土地登記事項証明書
- 公図、位置図、現況写真など
- 図面関係(造成計画平面図、断面図、建築物の図面)
- 資金関係書類(残高証明書、融資証明書、工事見積書)
他にも必要書類はあります。
たいていの農業委員会がホームページで必要書類、様式を案内してくれているので確認すれば問題ありません。
たまに、様式がホームページに掲載されていないこともありますが、その場合は直接問い合わせる他ありません。
申請は農業委員会に提出し、月1回の審査会で可否が決まります。
許可までの期間は、申請後概ね1~2か月程度です。
届出の場合は、1~2週間程度で完了します。
ステップ3:開発許可申請の手続き(必要な場合)
"開発許可"は、都市計画法第29条に基づき、一定規模以上の造成行為をする際に必要な許可です。
例えば、
- 面積が1,000㎡を超える
- 道路・上下水道を新設する
- 宅地分譲を行う
など、こうした場合には、農地転用の手続きと併せて開発許可の手続きも必要になります。
「農地転用の許可が下りた=すぐ工事できる」ではありません。
造成工事や道路新設を伴う場合、開発許可を取っていないと違法工事扱いになるケースがあります。
開発許可の審査には2〜3か月かかるのが一般的です。
設計士・測量士の図面作成費、申請手数料を含め、30万〜100万円ほどが目安です。
ステップ4:宅地造成工事の実施
許可を得たら、いよいよ造成工事です。
盛土・切土・擁壁・排水工事などを行い、住宅が建てられる平坦な土地に整備します。
造成工事の注意点
- 地盤が弱い場合、地盤改良費が高くつく(追加で数十万円〜)
- 排水の流末(どこへ水が流れるか)を事前に確認
- 農地のままでは大型車両が入れず、仮設道路が必要な場合も
工事費用の相場
- 小規模(100㎡前後):100〜300万円
- 中規模(300〜500㎡):400〜800万円
- 大規模(1,000㎡以上):1,000万円超も
造成中に市や県の職員が現場確認に来ることもあります。
設計図と異なる施工をしていると「是正指示」が出る場合があるため、慎重に進めましょう。
スッテプ5:建築確認申請と住宅建築
宅地が完成したら、建築基準法に基づく「建築確認申請」を行います。
これは、建物の構造や配置が法令に適合しているかを確認する制度です。
- 提出先:指定確認検査機関または市町村建築指導課
- 必要書類:設計図書、配置図、構造計算書など
審査期間は1〜2週間程度のことが多いです。
建築確認済証が交付されれば、着工可能となります。
農地転用、開発許可申請が通ったからといって、建築確認申請が通るとは限りません。
それぞれ別の法律に基づく申請なので、審査する窓口も違えば、審査の結果も違います。
ステップ6:地目変更登記・税金の確認
建物の建築が終了したら、最後に土地の地目を「宅地」に変更します。
これは法務局で行う手続きで、建物の完成後に申請するのが一般的です。
手続きの流れ
- 建物の工事が完了し、現況が「宅地」になったことを確認
- 法務局へ地目変更登記を申請(申請書+現況写真)
- 登記完了後、固定資産税が「宅地」扱いになる
税額の変化
- 地目が農地の時よりも固定資産税が3〜10倍程度上がることがあります。
- ただし、住宅を建てると「住宅用地の特例」により軽減されるケースも。
農地から宅地へ変更する際の期間・費用・スケジュール感

| ステップ | 内容 | 所要期間 | 費用目安 |
|---|---|---|---|
| 事前相談〜申請準備 | 区域確認・書類準備 | 約1〜2か月 | 無料〜数万円 |
| 農地転用許可 | 申請〜審査 | 約1〜2か月 | 約10万円前後 |
| 開発許可 | 必要な場合のみ | 約2〜3か月 | 約30〜100万円 |
| 宅地造成工事 | 実施工 | 約2〜6か月 | 約100〜1,000万円 |
| 建築確認・登記 | 建築+地目変更 | 約1〜2か月 | 約5万円〜 |
上記「費用の目安」は、専門家(行政書士、土地家屋調査士、司法書士など)に依頼した場合を想定しています。
依頼する専門家により、報酬額は様々なので、一度見積もり依頼してみることをお勧めします(見積作成は無料のことが多いです)。
また、期間を合計すると、申請から建築まで約1年程度が一般的です。
上記期間を考慮して、計画を立てていくことが重要です。
よくある失敗と対策
| 失敗例 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 市街化調整区域で申請して不許可 | 区域確認不足 | 最初に都市計画課で「区域」を確認する |
| 許可前に造成工事を開始 | 法令違反 | 許可が下りるまで絶対に工事をしない |
| 許可の有効期限切れ | 着工遅れ | 許可日から3年以内に工事を開始する |
| 地目変更を忘れた | 申請漏れ | 司法書士・土地家屋調査士に依頼する |
| 固定資産税が急増 | 事前確認不足 | 建物建築後の軽減措置を市税課に相談 |
申請は「事前確認」と「計画」が非常に重要です。
この2つが全て、と言っても過言ではありません。
事前確認を抜かりなく行い、綿密な計画をたてて進めていく必要があります。
まとめ
- 農地を宅地にするには「農地転用→開発許可→造成→建築確認→登記」という流れを正しく理解することが大切。
- 市街化区域なら届出、市街化調整区域なら原則許可制。
- 許可申請の前に、必ず農業委員会で事前相談を行う。
- 開発許可・建築確認は別法令。並行して準備が必要。
- 工事費・期間は想定より長くかかる。半年〜1年を目安に計画を立てよう。
- 税金(固定資産税・都市計画税)の変化にも注意。
- 専門家(行政書士・土地家屋調査士・司法書士)に依頼すれば、ミスなくスムーズに手続きを進められる。
「自分の土地で本当に家が建てられるのか?」を知ることがスタートです。
お住まいの市町村の農業委員会、または専門の行政書士に相談し、まずは「転用の可否診断」から始めてみましょう。
「時間がなくて自分で調べられない…」「自分の農地が転用できるか不安…」
という方は、農地転用を専門に扱う行政書士に依頼するのがお勧めです。
当事務所は農地転用を専門に扱う行政書士事務所です。
これまでに数多くの方にご相談をして頂き、農地を転用してきました。
「農地を宅地へ転用したい」とお考えの方は、ぜひ当事務所にご相談下さい!
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※営業電話が多く業務に支障が出ているため、現在電話番号を掲載していません。

